はじめに
今回は「なぜ?」と問うことで考える力を育てることについて書いていこうと思います
まずはじめに、あなたは部下や後輩と仕事をしているときに
「もう少し自分で考えてくれたらな」とか「今後のために自分で考えることを伸ばしたい」などと
このように考えることはないでしょうか?
以前、わたしが勤めていた会社は、100人ぐらいの会社で知名度はないため
売り手市場の学生たちは有名企業を狙って就職活動をしており、人を採用することすら困難でした
その中で入社してきたのは、言われたことならできるか言われたこともなかなかできない
このような新卒社員が多かったです
そのため社内教育で社会人としてのスキルを上げる必要性がありました
長いこと育成をしていると、できることを増やすことはある程度できるようになりましたが
「考える力」を身につける、伸ばすことはなかなかできませんでした
最後まで「これだ!」という答えも見つかっていません
このような苦労があったからこそ、わたしの経験で少しでも悩みの解決になったら幸いです
社員は仕事に興味がない
あなたの部下や後輩は、今の自分の仕事に興味を持っているかご存知でしょうか?
ちなみにわたしの周りには興味を持っているメンバーはほとんどいませんでした
大手の企業へ入社した人材は、この「興味」があるから入社したいと思ったはずです
わたしは自動車業界で働いていたので、これで例えるなら
・〇〇(メーカー)の車が好きで開発したいから〇〇自動車へ入社した
・自動車が好きで自分がデザインした車を世の中に走らせたいと思って〇〇自動車へ入社した
・車全般が好きで、営業職がやりたいからディーラーに入社した
このような理由が興味だと思います
ですが、人材確保が難しい小さい会社というのは
・入れればどこでもよかった
・とりあえず就活浪人を避けたかった
・転職ありきの実績づくり
こうした入社理由が多かったです
この状況から仕事に「興味を持ってもらう」をスタートしなければいけないので
なかなか興味を持ってもらうことのハードルが高いとわかってもらえると思います
ただわたしは、入社時点で興味がなくてもいいと思います
結局、やりたいことをできるかどうかは配属先によって決まってしまうので
もし自分の希望通りにならなかった場合に「興味がなくなってしまう」可能性があるからです
これが話題になっている、入社すぐに退職代行を使った早期退職の原因の一部だとも思います
なのでわたしは、「興味」を入社後に持ってもらうことの方が重要だと考えています
そこで必要になるのが、「なぜ?」と考える思考です
なんでもいいから「なぜ?」と考えてみる
「なぜ?」と考えることが良いと思ったきっかけ
「なぜ?」と考えること、これがいいと思ったのはドラゴン桜のドラマがきっかけです
ある場面で、街での課外授業がありました
街の案内板にはいくつのも外国語が表記されています
これに対して、
先生:なぜ看板が多言語化されているのか?
生徒:外国人が多くなってきているから
先生:ではなぜ外国人が多くなっているのか?
生徒:W杯(2002年日韓共同開催)があったから
先生:中国語も入っているがそれはなんで?
生徒:中国人も日本に遊びにくるようになったから
先生:それはなぜ?
生徒:さっきからなぜなぜってどうでもいいじゃん
先生:だからあなたはバカなのだよ
内容はちょっと違うかもしれませんが、このようなやりとりがあります
生徒も言っていますが案内板が多言語化されていてもどうでもいいですよね(笑)
しかし、ここでどうでもいいと考えるか、気になると思うかが分かれ目です
頭のいい人たちは「気になったことを解決する」ことを日頃からやっています
そのためにいろいろなことに「なぜ?」と疑問をもつそうです
ここまでならやっている人は多いかもしれません
ですがその後に「まあいいか、どうでもいいか」と思考停止になってしまう人がほとんど
頭のいい人は「わからないことをちょっと調べて解決する」ことができる人みたいです
このドラマを再放送で見たのが社会人の1年目とか2年目です
そこからわたし自身も10年以上これを実践しています
頭が良くなったかはわかりませんが、知識量は増えているような実感はあります
どのようにして「なぜ?」を習慣づけるのか?
わたしが育成の際に、実施して手順は以下のようにしていました
1.業務に関わる情報を調べる(興味を持つ)
2.業務でわからないことをわからないままにしない
3.日常生活でわからない言葉や情報をわかるまで調べる
4.なぜ?と問いかけ続ける
1.業務に関わる情報を調べる(興味を持つ)
わたしは新入社員とはじめて会話する時、「会社の仕事内容に興味があったか?」と質問しています
だいたいは、「あまり。。。」という反応が多かったです
そういった新入社員には、「まず仕事に興味を持つことから始めよう」と言っていました
「興味」と言うと難しいのですが、「とりあえず関心を持つ」という意味で使っていました
たとえば
・〇〇自動車(これから関わるメーカー)の販売されている車種名
・販売されている車種の値段
・競合他社の同じタイプの車種
このような感じで、気になるもの見つけ、調べて知識を増やすことからスタートしていました
わたしは「仕事が好き=興味がある」とは思っていません
「仕事に対して関心があり行動に移す=興味がある」と思っていました
なので、メンバーにも仕事を好きにならなくてもいい
でも自分がやっている業務について理解を深めるために関心を持つことは努力してほしい
このように伝えていました
2.業務でわからないことをわからないままにしない
「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」、このことわざは有名だと思います
新人や若い時はわからなくてもまだ大丈夫だと思いまますが
自分が指導する立場になった時に知らないと後輩たちの前でとても恥ずかしい思いをします
こうなってほしくはないと言うことを常々話をしていました
なので、少しでも疑問点やわからないことがあったら「まず調べる」ようにと伝えていました
「あとで」は絶対にやらないので、「すぐに」を徹底するようにと
提出されてきた資料を見たり、報告を聞いていれば、「正しく理解できてないな」は
なんとなくわかるので、「これはわかっているか?、ちゃんと調べたか?」と言い続けます
継続してくれれば「業務のことでわからないことがあれば行動に移す」ことができるようになります
3.日常生活でわからない言葉や情報をわかるまで調べる
これは言われたことはできるけど、自分で考えて動くことに成長が見られない時に
「ニュースでもなんでもいいから、気になったらすぐに調べて解決すること」と伝えていました
でも実はこれ、条件を限定すれば出来ている人は多いはずなんです
とくに自分の熱中できる趣味がある人は絶対にやっているはずです
たとえば、釣りが趣味な人が
・今の時期に釣れる魚を調べる
・その魚を釣れる場所を探す
・その魚の釣り方を調べる
・実際に釣りに行って釣れなかったら何が問題だったかを調べる
このようなことを言われなくても自分で考えて実践してるはずなんです
わたしの部署のメンバーはゲーム好きが多かったので
「キャラクター特性とか攻略法を調べるでしょ?」と聞くと、ほとんどYesと答えてくれました
それが出来ているなら、興味がなく知らないことで「まあいいか。。。」で済ませていることを
「とりあえず調べてみよう」と行動に移すことさえできればいいわけです
なので、日常生活の中から「なんで?、どうして?」を自分で抽出して
その答えを自分で調べて、答えを導き出すことができる癖をつけるようにしていきます
これができるようになれば、ある程度の「考える力」は成長していると思います
4.なぜ?と問いかけ続ける
これに関しては育成側が継続していくものになります
成果物、プレゼン資料、報告内容などなんでもいいので
部下や後輩が作ってきたものに対して「なぜ?」と問いかけ続けてください
もし、何も考えず作ってきたものならば、「特に理由はない、コピペ資料」などと答えると思います
その時は、「自分の意見や意思を伝えないと」と伝えてください
そうすることで、自分なりの意見や判断を入れて作ってくるようになります
その「意見や判断」を入れるためには、調べたり、考えたりすることが不可欠です
ただしこの時、合っている、間違っているはとりあえずおいておく方がいいです
まずは自分なりの「意見や判断」を入れれるようになったかを見てあげてください
そうすれば「考える力」が少しずつ養われていくはずです
その後は成長に合わせて、正しい判断ができるように導いてあげれば
そのうち正しく考えることができるようになると思います
わたしの経験
ここでわたしの経験を少し書いておきます
「考える力」を成長させるのはわたしも非常に苦労しました
そもそも、「指示されたことを正しく理解してミスなくやりきる」これができなかったからです
これをまずできるようにすることを考えると
「指示通りに動くこと」が優先させれて、考えることをしないんですよね
上司・先輩だって指示が間違っていることはもちろんあります
ただ、何度か同じことをやっているので少し考えれば
過去の経験から指示が間違っていることに気づいて、質問とか疑問が発生するはずなんです
ですが、「指示通り動いたのに何が悪い?」みたいな感じなんですよね
でもこれは指示した人間が間違っていたので強くは言えませんが
「おかしいなと思わなかった?」という質問に対しては「思った」と答える人もいるんです
おかしい、間違っていると思いながらも言われた通りにしか動かない人が出てきた時に
このままだとダメだなと思ったのが「考える力」を育成するきっかけです
もちろん一番最初は「指示通りに動く」が大事です
ただ、指示通りにできたことを褒めつつも
「作業」ではなく「業務」をやっていると捉えてもらえるように
「この業務について理解しているか?、こも言葉(専門用語)について理解しているか?」
こうのように細かく質問するようにし始めました
すると「あまり理解していない、全くわからない」と答える子がほとんどでした
なので自分含めた指導側の人間は最初は丁寧に全て教えることを徹底しました
その説明がされているということが前提で、同じように理解しているか質問すると
また「あまり理解していない、全くわからない」が返ってくるのです
もちろん育成側の説明不足もあるかもしれませんが
そもそも「わからないことをわからないまましておく」これが原因なのかなと考えました
あなたもそうかもしれませんが、自分の興味のないことを深く調べようとはしないですよね?
仕事とは楽しくないモノ、仕事に興味はないと思っているので
なかなかこの「調べて答えをだす」というのを理解してもらうのに苦労しました
これをやっていけば大丈夫というのは結局みつかりませんでしたが
なんとなく時間がかかても成長の段階を踏めるのが先程の4つの項目でした
1.業務に関わる情報を調べる(興味を持つ)
2.業務でわからないことをわからないままにしない
3.日常生活でわからない言葉や情報をわかるまで調べる
4.なぜ?と問いかけ続ける
自分で勝手に成長できてしまう人は1と2を最初に指導してあげれば
4次第、つまり上司・先輩側の日々の対応次第で成長速度が変わると思います
自分の意見・考えを持つところは時間がかかると思いますが
そこまで育成そのものに苦労することはないと思います
しかし、1と2を継続できない、そもそもやらない人もいるので
これで成長速度に差がでてくることを何度も見てきました
とくに1と2ができる、できないではなく、「継続」ができる、できないの差が大きかったです
継続する子はのんびりでも着実に成長が見られます
もしくは実施してる事実があるので、向き・不向きも判断できます
ですが、継続できない人は成長しないよりも、向き・不向きすら判断できないので
異動させたり、業務を変える判断もできませんでした
少し「考える力を付ける」からは脱線しましたが、継続は非常に重要な能力だと思っています
このやり方で正解だとは思っていませんが
このやり方を長年続けていたことで出た結果はもちろんあります
管理職の立場として、「業務に深く関わる必要性がなくなっていった」ことです
戦力が整わない間は、何でもわたしが判断して、お客様の意図を汲み取り
お客様の指示であっても、変だなと思ったら気づき相談することをやっていました
また、メンバーのやりとりが心配だとわたしのところに直接連絡がありました
こうしたことが少しずつ減っていったんです
しっかりと育成することで成長してもらえれば、自分の仕事は着実に減っていきます
育成側にも根気と継続がとても重要だと思います
最後に
いかがだったでしょうか?
あなたが部下・後輩の「考える力」が育たなくて困っているのであれば
少しでも参考になれば幸いだと思います
また、日常生活の中で「なぜ?」と思い、そのままにしておかない
この習慣は自分自身にも非常に役にたつとおもいますので
ぜひ取り入れてみることおすすめします